<< 相撲観戦 | main | 大迫力の大衣装 >>

あら、この染めは手描きかしら?

 

まだまだ寒い日が続きますが、
日に日に光が春らしく明るいものになってきましたね。
寒さが苦手な私は、光を求めて、カフェやレストランでも
いつも窓際にまっしぐらです。

今週も仕入れが続きました。

仕入れに行くと、
江戸時代から現代のものまで様々なものに出会います。
きものさらさでは、店頭には並ばない、
古い染織品も取り扱っています。


例えばこちら。


今回ご紹介するのは、明治時代に大流行した『型友禅』です。


今では通称『江戸ちり(江戸縮緬)』と呼ばれているものです。

長襦袢に仕立てられているものが多いため、きものさらさでも、月に2,3、枚は入荷するものの、着用はできないという理由で全て業者間のオークションに出品してしまいます。


店頭でお客様にご覧いただく機会はほとんどなかったのですが、改めて集めてみてみると、この時代特有の面白さがたくさん見つかったので、ここで何枚かをご紹介したいと思います。

 




このように、明治時代の型友禅は、大変写実的な染めが特徴です。

なんとも日本画のような、押し迫るような迫力がありますよね。

それもそのはず。

明治の初めに、岸竹堂、望月玉泉、今尾景年

などなど、著名な日本画の大家からその一門たちまで、本職の日本画家が下絵を描いていたのです。

あまりに精巧で凝った下絵のため、染め業者がもてあますということも度々あったようです。

 

型友禅とはどういう技法で染めているのか。

染め友禅刷り技法という、模様を多枚数の型染めにそれぞれ彫り分けて、染料を刷毛で刷り込んで多色に染めたものが幕末期から急激に発展しました。

それに加えて、化学染料と糊を混ぜてペースト状にした色糊を蒸熱することによって着彩する写し友禅染めという技法も明治になって開発されました。

染め友禅刷り技法の流行によって、熟練した技術を持つ、型を彫る人間が多数育ったこと。

明治維新により、困窮を極め、仕事を求めていた日本画家たち。

そして明治の初期にやっと一般に普及し始めた化学染料の出現。

これらの要素が揃って、色彩豊かで明確な模様表現が可能な型友禅が一気に広まったようですね。

 

 

 

型を彫るのも大変な作業だったんでしょうね・・。





まるで一枚の絵を見ているように感じますが、
こちらも長襦袢用に染められたものだと思われます。





板垣退助・・・??


当時の町の様子が眼に浮かぶようですね。



赤鬼は西洋人を風刺したものでしょうか。



明治の初めには、日本で初めての日刊新聞も発刊されています。


明治維新後の日本の風俗を風刺しながらも、ここまで写実的に
染めているのは、明治の型友禅の特徴だといえるでしょう。

これらの型友禅は、東京サロンにて、2月の催事中に展示しますので是非手にとってじっくりご覧くださいね。

きものさらさ らしくないと判断した商品は
これまでも右から左に業者間のオークションに出品していました。
このキモノコラムをきっかけに、少し立ち止まって、
ある時代やテーマに注目してこちらで少しずつ御紹介していければな、と思っています。


大谷さらさ

| - | 23:25 | - | - | - | - |

12
--
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
--
>>
<<
--